鴫原薫｜水なき海の名へ｜

逗子市のzushi art galleryにて、三島由紀夫生誕100年記念企画-薔薇の光の中で-が好評開催中です。弊社プリンティングディレクターの鴫原薫が参加し、《水なき海の名へ》シリーズより11点を発表しています。本作は三島由紀夫の遺作・『豊饒の海』四部作をモティーフとしたアダプテーション作品となっており、転生する若者たちが目にした情景や心理描写を、多重露光が織りなす光と影で視覚化しています。三島が残した原稿用紙三千枚におよぶ壮大な遺書に対する没後五十五年のアンサーです。

-豊饒の海・第一巻-『春の雪』をテーマとした10点は、作中の要所で降る雪をイメージし純白に塗装したウッドフレームで額装しています。豊饒の海は夢と転生を描いた最後の長篇で、結末や転生の行方などその解釈に様々な余地が残されているため、余白感を意識したアウトプットとなっています。

本展では細江英公氏の『薔薇刑』より1点・森山大道氏による、三島をイメージさせる作品の特別出展があります。薔薇刑をともに作り上げ、師弟関係にあった両氏のオリジナルプリントが並ぶ貴重な機会です。こちらもぜひ会場にてご覧ください。