プリントテクニック<奥行き感編>
こんにちは、プリンティングディレクターの霊山(タマヤマ)です。
今回は、私がプリントする上で使っているテクニックをご紹介したいと思います。
初回のテーマは奥行き感の演出法です。
みなさん、レンブラントの絵をまじまじとご覧になったことはありますか?
別名、光と影の画家と言われるレンブラントは明暗差を出すことによって主題を克明に浮かび上がらせています。
レンブラントが活躍したバロック絵画期ではこの明暗差による奥行きの演出が多用されております。
写真はディスプレイ上で見ると綺麗でも、プリントにすると立体感がわかりづらくなってしまう場合があります。
その場合、明暗差を少し味付けすることによってプリントが生き生きとしてきます。
では、実際写真に置き換えて奥行き感を演出してみます。
左が加工前、右が加工後です。全然印象が変わりますよね。
今回はトーンカーブのみを使用し、手前の海と空の外側の濃度を落としています。
そうすることにより奥の明るい部分が際立ち、奥行き感が生まれます。
個人的な意見として、写真の四隅が明るいと見る側の視線が散漫になるので注意が必要です。
プリントする際は、写真の部分的な濃度を変えることによってドラマチックにしたり、穏やかな印象にしたり、写真全体の印象を操ることによって写真家の思い描くイメージに近づけます。
ただ、闇雲にこれを使うとかえって写真の良さを殺してしまう場合がありますので、主題は何か、この写真で何を表現したいのかをしっかり考えることがとても大切です。
是非みなさんも濃度による奥行き感を実践してみてください。
次回はフィルムの手焼きプリントのような風合いを出す方法をご紹介します。
(テーマが変わったらごめんなさい!)
それでは、みなさんごきげんよう。
text by 霊山玄