PRINT NOTE #01 白版
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FLATLABOがお送りする、UVプリントに役立つヒントをまとめたPRINT NOTE。
第1回目のテーマは「白版」
白版とは
UVプリントでは通常カラー印刷を行うとき、白色のインクは出力されません。
白に見えているところは紙などの素材・支持体(以下メディア)の地の色なのです。
白色というのは特色と呼ばれる色で、ここが白になります、という指示を送らないとデータ上では「ここには色が乗っていない」と認識します。
つまり、ここが白色ですよと指示を出すためのデータが白版になります。
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データ作成からプリントへ
今回は、絵柄全体に白版を敷く場合の、最もシンプルなデータの作成方法と実際のプリントの様子をご紹介いたします。
まずは印刷したい作品のデータを用意します。
今回は絵画作品のモチーフ部分だけをくり抜いた透過データです。
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メディア
印刷するメディアは左から透明アクリル・アルミ複合板(シルバー)・ミラーアクリルを用意してみました。
これらは地の色を活かしやすく、比較的安価で人気の高い代表的なメディアです。
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ではまず透過データの方からデータを作っていきます。
まずは白版用に新規レイヤーを作ります。
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次に、元の画像データレイヤーのサムネイルの部分を、コマンドを押しながらクリックします。
すると、透過データ(絵柄)の範囲のみが選択されます。
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そのまま選択範囲を解除せずに白版用レイヤーの方に、K100%で塗りつぶします。
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これで白版を作ることができました。
あとはわかりやすいように白版レイヤーの名称を「White」「白版」「ホワイトレイヤー」などに変更しておけば、あとからデータをチェックする際にわかりやすいです。
プリント
データができたらいよいよ印刷です。
プリンターにメディアをセットし、印刷開始。
メディアの表面にプリントする場合ははじめに白版、そのあとカラーが印刷されます。
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まずは白版。
手前側から徐々に印刷が行われてゆきます。
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種類の違うメディアでも厚ささえ同じであれば、基本的にはこのように並べて同じデータでも別のデータでも同時に印刷することが可能です。(木製のパネルなど、個体差のあるようなメディアはその限りではありません。)
ちなみに紫色に光っているところはUVインクを硬化するための紫外線ライトです。
インクを吹き出しながら、光を当てて瞬時に硬化させています。
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白版の印刷が完了したら、次はカラーの印刷が始まります。
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まだ印刷が始まったばかりでわかりづらいですが、うっすらと色が乗り始めました。
このようにインクの吹き出し口が横移動をしながら、手前から奥側へと徐々にインクを吹き付けてゆき、印刷が進んでいきます。
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順調に各メディアにカラーデータが印刷されてゆきます。
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あっという間に印刷が完了しました。
白版があることで作品の絵はしっかりと発色しつつ、背景やモチーフの抜きの部分などはしっかりと地が出ました。
完成
それでは、仕上がったプリントをみてみましょう。
まずは透明アクリル(3t)です。
比較のために左には背面からカラーのみをプリントしたものを置いています。
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UVインクは透過する性質を持つため、メディアの素材感や色味を干渉します。
アクリルのような透明のメディアにプリントをする際は、白版を敷くことでその範囲は透過しないという仕組みになります。
カラーのみのプリントは透けた光を通します。
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一方で白版を敷いた方はしっかりと遮光されています。
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アルミ複合板(シルバー)や、ミラーアクリルに印刷したものも綺麗に印刷ができました。
特殊な素材なので、地の色などを活かした作品作りに向いています。
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まとめ
今回は絵柄全体にかかるように白版を作りましたが、あえて部分的に白版を作り、カラーのみの印刷面を出すなどで様々な印刷仕様を楽しむこともできます。
ぜひ、白版を用いて様々な作品表現に活かしてみてはいかがでしょうか。
また、今回ご紹介した作成方法は透明インクや蛍光インクの特色データ作成にも応用できます。
これらについては今後のコラムでご紹介予定です。
白版や印刷についての詳細は以下のお問い合わせからお願いいたします。
FLATLABOのプリンティングディレクターにお気軽にご相談ください。
https://flatlabo.com/contact/
※2営業日以内に担当から折り返しのご連絡をお送りいたします。
PRINT NOTEでは今後もUVプリントに役立つ様々なヒントを発信していきますので、ぜひチェックをよろしくお願いします。
テキスト / 撮影 / 印刷:プリンティングディレクター 野村恵里子
使用作品提供:nomura elico